ITプロジェクト管理 — バイリンガルPMで海外本社と日本拠点を橋渡し
外資系企業のITプロジェクトを確実に推進
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重点分野
- 予算管理
- スケジュール管理
- 品質保証
- リスク軽減
- リソース最適化
- ステークホルダーコミュニケーション
- 変更管理
- ベネフィット実現
日本のプロジェクト管理では、各マイルストーンの前に根回しによる合意形成が欠かせません。
写真: cottonbro studio / Pexels
「なぜ日本だけスケジュールが遅れるのか」という質問
本社のグローバルPMOから「同じシステム導入を他の国では3ヶ月で終わらせたのに、なぜ日本は半年かかるのか」と問い詰められる。外資系企業の日本IT担当者にとって、この説明は毎回骨が折れます。
理由はシンプルではありません。日本では意思決定の前に関係部署への根回しが必要で、この合意形成にかかる時間はプロジェクト計画書には載りにくい。ベンダーとの関係も単発の取引ではなく継続的な信頼関係の中で動くため、RFPを出して最安値を選ぶという本社のやり方がそのまま使えないこともある。テスト工程では日本側の品質基準が本社の想定より厳しく、受け入れ条件の擦り合わせだけで数週間かかることもあります。
イソリアのプロジェクト管理は、こうした日本固有の事情を最初から計画に組み込みます。根回しに必要な期間をWBSに明示し、本社のPMOが納得する形で説明する。日本側のベンダーとの調整は日本語で行い、進捗は本社フォーマットに合わせて英語でレポートする。両方の期待値を現実的な線で合わせるのが、イソリアのPMの仕事です。
プロジェクトの進め方
イソリアのプロジェクト管理は4つのフェーズで進行します。各フェーズの進捗は継続的にモニタリングし、本社と日本側の双方に報告します。
開始フェーズでは、プロジェクト憲章の策定とステークホルダーの特定を行い、本社と日本側の双方が合意できる成功基準を定義します。計画フェーズでは、作業分解構造(WBS)に根回しや稟議のプロセスを明示的に組み込み、リスク評価と予算・スケジュールのベースラインを設定します。実行フェーズでは、タスクの調整と進捗監視を行いながら、課題やリスクが発生した時点で本社と現場の両方に適切なエスカレーションを行います。終了フェーズでは、成果物の受け入れ確認、運用チームへの知識移転、教訓の文書化を通じて、プロジェクトを確実に日常業務へ引き継ぎます。
方法論の詳細については、エンゲージメント方法論をご覧ください。
日本のプロジェクトで起きやすい問題
イソリアが26年以上年にわたって在日外資系企業のプロジェクトを管理してきた中で、繰り返し見てきたパターンがあります。
一つは本社と日本側のタイムライン感覚のずれです。本社PMOは他国の実績をもとにスケジュールを引きますが、日本では合意形成、ベンダーの社内稟議、年度末の繁忙期回避など、他国にはない制約が加わります。最初からこれを織り込まないと、プロジェクト中盤で「遅延」として報告されることになり、本社の信頼を失います。
もう一つはベンダー管理の難しさです。日本のSIerは長期の取引関係を前提としたコミュニケーションをします。本社が求めるような競争入札と短期契約の枠組みを持ち込むと、ベンダー側が消極的になり、結果的にプロジェクトの品質に影響します。イソリアは日本のベンダーとの交渉を日本語で行い、本社が求める透明性と日本のベンダーが期待する関係構築の両方を満たす形でプロジェクトを進めます。
さらに、コミュニケーションスタイルの違いも見落とされがちです。日本側のプロジェクトメンバーが「検討します」と言ったとき、本社は「了承した」と受け取ることがある。イソリアのPMはこうしたニュアンスの違いを日英双方に明確に伝え、認識の食い違いが問題に発展する前に対処します。
対応するプロジェクトの種類
イソリアのプロジェクト管理は、多国籍企業のPMOと連携して日本側の実行を担う形が大半です。お客様のプロジェクトチームの代わりではなく、グローバルの計画と日本の現場をつなぐ役割です。
ERP導入では、SAP、Oracle、Baan、Navisionの日本拠点側を担当してきました。フルライフサイクルの案件も、途中で親会社が買収されて範囲が変わった案件もあります。いずれも、グローバルチームがプログラム全体を統括する中で、日本側のベンダー調整と業務適合を主導しました。
オフィス移転は最も安定的に発生するプロジェクトの一つで、毎年複数件を担当しています。データセンターやサーバールームの移転は、計画に1年をかけてダウンタイムゼロで実行した大規模案件から、消防法対応で耐震ラック固定(コンクリートスラブへのボルト止め)が必要になった案件、床下ケーブルの蓄積など物理的な技術負債の解消が動機となった案件まで対応しています。
自社PROdbプラットフォーム上で、医師が遺伝子検査を発注するオーダーエントリーシステムを構築し、全国約5,000名の医療従事者に利用されています。同じくPROdb上で、多国籍企業のアジア全拠点が利用する多言語CRMも構築しました。SharePointによるイントラネット構築の実績もありますが、Microsoftがプラットフォームを頻繁に変更するため、過剰な作り込みを避けてシンプルに維持する方針を推奨しています。
全国拠点へのPC展開は中規模を中心に複数回実施し、大規模な展開も経験しています。テレフォニーの導入支援はキャリアやSIerと連携する形で対応しています。また、AS/400とメインフレーム間の全銀TCP/IP接続から、インターネットVPN経由のXML転送への高リスクなEDI切替も実施しました。日次で数十万円の売上が発生する環境での切替でした。
複数のプロジェクトが同時進行する場合は、プログラムとして統合管理を行い、プロジェクト間の依存関係とリソース競合を調整して本社への報告を一本化します。CTO/CIOの交代や部門再編など、IT責任者が不在になる移行期には暫定マネジメントとしてリーダーシップを引き受けることもあります。
プロジェクト管理の実務基盤
追跡と報告
プロジェクトの進捗、課題、リスクはすべて自社開発のPROdbシステムで一元管理しています。お客様がJiraやAzure DevOpsを使っている場合はそちらとも連携し、本社が求めるフォーマットでのレポートを定期的に提出します。ダッシュボードはリアルタイムで共有するため、本社のステークホルダーが東京のプロジェクト状況をいつでも確認できます。
品質の確保
成果物は各フェーズで定義した受け入れ基準に照らして検証します。テスト計画の策定から実行、結果の文書化まで、品質管理のプロセスを一貫して運用します。日本のお客様が求める品質水準は国際基準より高いことが多いですが、イソリアはその期待値を理解した上でプロジェクトを進めます。
契約の形態
お客様のニーズに合わせて3つの形態を用意しています。
フルマネジメントでは、イソリアが専任PMを配置し、プロジェクト全体の推進責任を持ちます。ベンダー調整、進捗管理、本社報告まで一貫して担当します。
共同マネジメントでは、お客様の社内チームと役割を分担しながらプロジェクトを進めます。イソリアのノウハウを社内に移転しつつ、段階的にお客様のチームが主導権を持てるよう設計します。
アドバイザリーでは、直接のプロジェクト運営は行わず、戦略的な助言を提供します。進行中のプロジェクトの健全性チェック、方法論の改善提案、問題が発生したプロジェクトの立て直し支援などが対象です。